モントリヒト城の吸血鬼② 〜望まれざる来訪者〜

「え…?なんのこと?」

「何のって、おつかいよ。
このあいだドレスを
あげたときに
言ったでしょう。
また、血を取りに
行って欲しいって。
喪に服した街で
朔夜は食事し
づらいでしょうから、
前みたいに
朔夜のための
血を用意しなきゃ
いけないわ。
知り合いに
頼んであるから、
前のところに
取りにいってね。」

「あ…。はい。」

そういえば、
数日前に姫乃は
そんな話をしたような
気がする。

その時は姫乃に
対する不満が
沙羅の頭を
埋め尽くしていて、
話半分に聞いて
いたかもしれない。

「…お姉さま。
…もしかして、
女王様が亡くなるって、
知っていたの?」

不意に浮かんだ疑問が、
つい口をついて出た。

姉の手際の良さは
どう考えても
そういう結論に
達してしまう。

沙羅の質問に
取り乱すことは
なかったが、
やはり姫乃は
何も答えては
くれなかった。

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