モントリヒト城の吸血鬼② 〜望まれざる来訪者〜
深まる謎―凍夜
「モントリヒト公爵は
吸血鬼に毒を
盛られた…
シプレという女は
確かにそう
言ったんだね。」
「ええ。」
弟の持ち帰った情報を
繰り返す凍夜に、
朔夜は神妙な
様子でうなづいた。
「吸血鬼が盛る毒…。」
「まぁ、間違いなく、
吸血鬼の血でしょうね。」
吸血鬼の、血。
それは、人間を
確実に死に
至らしめる猛毒。
しかも、性質の
悪いことに、
吸血鬼の血で
死した後には、
吸血鬼の眷族の
ひとつ、喰血鬼
(ブラッド・コープス)という
生ける屍となって
人を襲い喰らう
化けものに変わる。
「…シャディンが
姫乃の父親を
殺した手段も、
同じだと思いますか。」
姫乃は、自分の
父親は病死したと
言っていた。
しかし、姫乃の
父親を殺したのは
シャディンという、
凍夜と朔夜に
とって古い知人の
吸血鬼だ。