モントリヒト城の吸血鬼② 〜望まれざる来訪者〜
墓参り―朔夜
「…沙羅?」
朔夜との話に夢中に
なっていた沙羅は、
自身の名を呼ばれて
初めて道の
向こうから来た
友人たちに気付いた。
「アルカ。シエル。
…どうしたの?」
「おまえこそ、
どうしたんだよ?
今日は店、
休みだぜ?」
沙羅に話しかける
シエルの腹を、
先に挨拶だろ、と
アルカが軽く小突く。
「こんにちは、
ノークスさん。」
「あ、そっか、
どもっス。」
貴族に対してではなく、
あくまで友人の
保護者に対する
簡単なあいさつに
わずかに苦笑しつつ、
朔夜もあいさつを返した。
「キミたちは
こんなところで
何を?」
二人がそれぞれ
手に持った
バスケットに
目がとまった。
沙羅も気になるらしく、
じっと二人の
返答を待っている。