モントリヒト城の吸血鬼② 〜望まれざる来訪者〜
「お姉さまたちを
お待たせしちゃうと
思って、少しだけ
急いで…。…。
…やっぱり急いでたの。」
沙羅の言葉に
姫乃はくすくすと
笑った。
ここ数日に比べると
今日の姉は機嫌も
調子もとても
よさそうだと、
安堵する。
二人並んで広間に
はいっていくと、
一足先に席に
ついていた朔夜と
珍しく沙羅たちと
一緒にティータイムを
過ごす気になった
らしい凍夜の姿があった。
「朔夜様、これ。」
「なんです?…ああ…。」
沙羅が懐から血液の
入った小瓶をだすと、
朔夜はちらりと
姫乃を見た。
一瞬、彼女に何か
言おうと口を
開きかけたようにも
見えたが、すぐに
姫乃から沙羅へと
視線を戻して微笑む。