モントリヒト城の吸血鬼② 〜望まれざる来訪者〜
墓参り―凍夜
「…わたしも、行きたいの。
わたしたちのお父様と
お母様の、お墓参り。」
義妹の提案は、
その場の空気を
一瞬で変えた。
姫乃の顔を見れば、
彼女がすでに平静を
装えないほど
動じていると
一目でわかった。
不安げに姉を見る
沙羅の横で、固唾を
のんで様子を見守る
朔夜と目が合う。
外から帰ってすぐ、
動きがあるかも
しれないと連絡を
寄こした朔夜。
姫乃と沙羅が
広間につく前に、
手短にと聞いた
断片的な報告。
沙羅が、両親の
墓参りに興味を
持っている。
その言葉で凍夜は
朔夜同様、事態が
動く可能性を確信した。