モントリヒト城の吸血鬼② 〜望まれざる来訪者〜
「駄目なものは駄目なの。
…いつも通り、教会で
お祈りしなさい。
それで十分でしょう。」
「っ…!どうして!?
どうしてだめなの!?
だって、わたし、一回も
お墓参りしたこと
なんてない!
一回くらい…っ!」
「駄目だって
言ってるでしょう!
いい加減にして
ちょうだい!
これ以上、この話を
続けるのは止めて!!」
不満が爆発した沙羅に、
姫乃も声を荒げて
無理やり話を打ち切った。
席を立ち、強張った
表情のまま広間から
出ようとする姫乃に、
ぽろぽろと涙を
こぼしながら
沙羅が言った。
「…わたしが、
お父様の本当の
子供じゃないから…?」
「!?」
酷く驚いた様子の
姫乃が振り向き、
沙羅を凝視する。
「…あなた…今、
なんて言ったの…?」