モントリヒト城の吸血鬼② 〜望まれざる来訪者〜
「…っ…わたし、
わたしがお父様の
本当の子供じゃないって、
知ってるもん!!」
「誰がそんなバカげた
こと言ったの!?
そんなわけないでしょう!!」
「だって、前に地主さまが
いってた!お姉さまと
わたしは父親違いの
姉妹だって!!」
「っっ…!!それで
どうして、あなたが
あんな人が言った
そんなくだらないことを
信じなきゃいけないの!」
「だって、わたし、
お父様のこと、
なんにも知らないもん!
お姉さまがなんにも
教えてくれないのは、
わたしがお父様の
子供じゃないから
じゃないの!?
わたしがお父様にとって
いらない子だから…
生まれてきちゃ
いけない子だから、
お姉さまは…っ。」
沙羅の叫びを遮って、
堅い音が響いた。
今まで叫んでいたことも
忘れて呆然と姉を
見つめた沙羅は、
無意識で今しがた
音が弾けた自身の頬に
てのひらをあてた。