モントリヒト城の吸血鬼② 〜望まれざる来訪者〜
沙羅と出会って、だいぶ経つ。
出会ったはじめは、
姉と二人きりで暮らしてきた
影響か、あまり自分から
雑談をしなかった少女が、
今では嬉々として、
朔夜に今日あった
出来事を話すようになった。
その変化は、とても好ましい
ものだと思っているから、
朔夜は彼女が可愛らしく
微笑み語る姿を見れるのなら、
どんな内容の話でもかまわない。
ただ、あえて難を上げれば、
内容が八割方、姉の
姫乃の事というのは、
どうかと思うが。
「…そうですね、退屈と
いうわけではありませんが、
ひとつ、聞いてもいいですか?」
「なぁに?」
「…そのふくろの中には、
一体何がはいっているのです?」
見覚えのない袋の
ふくらみが気になった。
確か、今朝、彼女を店に
預けたときは持って
いなかったはずだ。