モントリヒト城の吸血鬼② 〜望まれざる来訪者〜

もはや理解するのを
あきらめながら
朔夜が尋ねれば、
メリッサは楽しげな
笑みを浮かべた。

「うふ。ノークス様が
可愛いってお話。
…あーあ、ノークス様が
自覚しちゃったら、
あたしは用済みよねぇ。」

「…はぁ…?」

「ところでノークス様?
あたし、記憶無いよりは
あったほうがいいんだけど、
今日もなにもわからなく
されて紅喰(おしょくじ)
されちゃうのかしら?」

「…やはりキミは…。
…キミもシプレ同様、
僕の正体を知った上で
僕と関わるわけですか。」

観念して、自身の正体を
認めるていで問いかければ、
メリッサはしれっと
白を切った。

「あらー?何のお話ぃ?
それより、今日は大事な
お客様の前でちゃんとした
意識がある状態でいられるのぉ?」

「…。…キミがそのほうが
いいというなら、
そうなるでしょう。」

「んー、ぜひ、そう
なってほしいわぁ。」

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