モントリヒト城の吸血鬼② 〜望まれざる来訪者〜
「…お姉さまへのプレゼントなの。
明日、わたしの誕生日だから。」
そういってとりだされたのは、
小さなドライフラワーを
まとめてリボンで飾った
まるいブーケだった。
「上手にできてると思うの…。。」
「ええ、とてもきれいですね。
そうですか、誕生日…。」
軽く相槌を打ちかけて、
朔夜はその言葉に
ひっかかりを覚えた。
…今、ツッコミどころ満載な
話が聞こえなかったか。
「…誕生日!?」
「…?はい。」
「キミの!?」
「そう。」
「姫乃ではなく?」
「うん。」
「…なのになぜ、キミが
プレゼントを送る側なのですか…?」
「?誕生日は贈り物を
する日でしょう?」
「キミは贈られる側でしょう。」
「え?でも、毎年、わたしの
誕生日には、お姉さまに
贈り物をしてるから…。」
認識の違いとそれ以前の
自分の失態に、朔夜は言葉を失った。