モントリヒト城の吸血鬼② 〜望まれざる来訪者〜
心の中でため息をついて、
紅喰のためにその
首筋に牙を立てる。
わずかな緊張が彼女の
血から感じ取られたが、
その中には恐れや
嫌悪は感じられない。
姫乃のような極上の血の
持ち主ならば話しは別だが、
拒絶の感情が強い血は
朔夜の好みではなかった。
麻酔無しで味が
変わるようなら別の餌をと
考えていたが、
その心配はなさそうだ。
「メリッサ?入っても
いいですか?」
若い女の声に、
朔夜はメリッサを放した。
「あ、ちょっと待ってぇ?
いま仕事中なのぉ。」
「えっ!?あ、ごめんなさい、
知らなくて…。」
「ノークス様、
少しだけいーい?」
「かまいませんよ。
僕ももう帰りますから。」
「うふ。ありがとぉ。」
簡単に乱れた服を直すと、
メリッサは部屋のドアを開けた。