モントリヒト城の吸血鬼② 〜望まれざる来訪者〜
いつもなら、
急かすようなことを
いわないメリッサが、
やんわりと早く帰るよう
示唆したのは、
朔夜にあまり余計なことを
話さないようにと
警戒しているから
かもしれない。
ききたいことは
まだあったが、
朔夜は追求するのを
諦めた。
これ以上、この餌に
警戒されてしまうのは困る。
下手を打って、彼女に
逃げられれば、朔夜は
代わりの餌を
探さなければならない。
今は新しい都合のいい餌を
探す時間が惜しかった。
微笑むメリッサの手に
口づけて、朔夜は
しかたなく彼女の
部屋を出た。