モントリヒト城の吸血鬼② 〜望まれざる来訪者〜
だけど、沙羅だって、
今回の件に関しては
譲れない。
両親の墓参りに
行きたいと
言っただけなのに。
父親が違うという
事実を沙羅は
知っていると
言っただけなのに。
ただそれだけなのに、
理由も教えてもらえず、
あんな、手を
上げられるなんて
納得がいかない。
ふと、階段の方から
足音が聞こえて、
沙羅は顔を上げた。
姫乃かと期待して
降りてくる人影を待ったが、
残念なことに
それは義兄の
凍夜のものだった。