モントリヒト城の吸血鬼② 〜望まれざる来訪者〜
「いい加減にして
ください、凍夜。
そんなことあるわけが
ないでしょう。」
何も言い返せなくなって、
泣きたくもないのに
泣きだした沙羅に代わって
食事から戻った
朔夜が反論した。
「姫乃を宥め
られないからと、
幼い義妹に当たるなんて
大人げないにも
ほどがある。」
「別に当たってないよ。
僕は本当のことを
言ってるだけだ。」
「何が本当のことです。
沙羅を守るためなら
なんでもする姫乃が、
いらないなどと微塵でも
思うわけがないでしょう。
沙羅…キミも、
凍夜の八つ当たりなど
気にする必要は
ありませんよ。
姫乃に対してだって、
キミは言うべきことを
言っただけなのですから。
たった一度、
腹にすえかねることを
言われただけで、
姫乃がキミを
手放すなどある
わけがない。」