モントリヒト城の吸血鬼② 〜望まれざる来訪者〜
「どうでしょう。
先ほども言いましたが、
彼女は妹を守る
ためならなんでも
しますからね。
キミが大人げなく
沙羅をなじって
とりかえしの
つかないほど
傷つけでもしたら、
姫乃は沙羅を連れて
出て行ってしまうかも
しれませんよ。」
「…。」
「そもそも、沙羅の
言動に対して一切
関与しないというのは、
情報を得るために
必要だと合意の上で
取り決めたはずです。
それなのに、
自分の都合の悪い
展開になったから、
彼女を責めると
いうのは酷い話では
ありませんか?」
正論を並べ立てる
朔夜に反論できず、
凍夜は黙りこんだ。
おもしろくない状況に
さらに油を注がれて、
凍夜の機嫌は
どんどん悪くなる一方だ。