モントリヒト城の吸血鬼② 〜望まれざる来訪者〜

「…こんなことなら、少しでも
モントリヒト公爵家と
接点を持っておけば
よかったですね。」

「…。…何の話。」

「昔、父と
親しかったでしょう。」

「…。…だから、何の話。」

「…。覚えて
いないのですか?
小さい頃、当時の
モントリヒト公爵が
夫人と一緒に
モルゲンロートに
滞在したでしょう。」

「そんな昔のことを、
なんで僕が覚えて
なくちゃいけないんだい?」

「薄情ですね…。
キミにしては珍しく、
懐いていたのに。
たしか、キミに剣術の
手ほどきをしたのは
彼じゃありませんでしたか?」

「誰。」

「本当に覚えて
いないんですか!?
ウィスクム・フェルノフォート卿
ですよ。キミが剣術で
勝負して最後まで
一本も取れなかった
相手です!」

「最後には勝ったよ。
人の過去をねつ造
しないでくれる。」

「覚えているんじゃ
ありませんか。」

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