モントリヒト城の吸血鬼② 〜望まれざる来訪者〜

「あの…朔夜様…?」

「え…?あ、いいえ、
その、今のは別に…。」

壊したくない関係を、
今、自ら壊そうとしたことに
朔夜はうろたえる。


「…キス、してくれないの…?」

「は…?」

「…わたし、朔夜様に…
してほしかったのに…。」

「!?」

沙羅にそんなことを
言われるなど思いも
よらなかった朔夜の
頭の中は、一瞬にして
真っ白になった。


「ほかの、女の人とは
するんでしょう?
…キス以上のことも…。
わたしとは、して
くれないの…?」

「さ、沙羅…?」

伸ばされた沙羅の手が、
朔夜の胸を押し、そのまま
彼女が体重を預ければ、
押し倒されるような形で、
朔夜はソファーに倒れ込んだ。

< 236 / 263 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop