モントリヒト城の吸血鬼② 〜望まれざる来訪者〜
「…それで、ご飯やおやつのことを
思い出せば、怖くなくなるかと思って、
思いだしやすいように食堂にきたの。」
「ふっっ!」
朔夜は思わず噴き出した。
突然笑われたことに驚いた
沙羅は顔を上げ、目を
まんまるくして朔夜を見上げる。
…ああ、やはりこの子はこうでないと。
「…。」
「す…すみません…。突然キミらしい
思考に切り替わったので、つい…。」
「…わたし…本当に、怖かったの…。」
朔夜の反応に珍しく気分を害した
様子の沙羅は、俯いて小さな声で呟いた。
そんな様子の義妹に申し訳なさと
愛おしさがこみ上げて、
朔夜は沙羅の顔を覗き込む。
「…食べ物のことを思い出すより先に、
なぜ僕を思い出さなかったのです?」
「え…?」