モントリヒト城の吸血鬼② 〜望まれざる来訪者〜
「…。」
不審に思って、ローラは駆けだした。
メリッサは、あれでずいぶんな
気づかい屋だ。
間違っても、こんな時間に
あんな大きな音を立てて
窓を閉めたりしない。
「メリッサ!何かあったの!?」
ノックもせず、彼女の部屋の
ドアを開ける。
慌てて飛び込んだ部屋で、
ローラの目に映ったのは
予想だにしない光景だった。
「…あ、あなた…メリッサに
何をしてるの!?」
「騒ぐな。この女に傷がつくよ。
この身体は大事な商売道具だろ。」
「!」
部屋にはメリッサと、
シスター服の若い女がいた。
背後からメリッサの口を塞ぎ
ナイフを突き付ける女は、
ローラの乱入にも動じず冷静にいう。
「…ドアを閉めて、鍵をかけろ。」
メリッサの肌に、銀色の刃先が食い込む。
ローラは相手を刺激しないように
静かに指示に従った。