モントリヒト城の吸血鬼② 〜望まれざる来訪者〜
「…いいだろう。言え。」
「言うから、ナイフどけてくれるー?」
「駄目だ。このまま言え。」
「えー?…じゃあ、言うからあの子は
部屋から出してあげてぇ?
あの子は全然関係ないでしょう?」
「…。駄目だ。人を呼ぶ可能性がある。」
「えー?そんなことしないわよねぇ?ローラ。」
ローラ、とメリッサが呼んだ瞬間、
シスターは驚いた顔でローラを凝視した。
「ローラ…その髪の色…あんた…ロゼって
呼ばれてたあのローラ…?」
「!…。…サーシャ…?」
この世で、ローラのことをロゼと
呼ぶのはたった一人だけ。
そしてそのことを知っているのは、
この街の人以外ならある程度
親しい人間だけだ。