モントリヒト城の吸血鬼② 〜望まれざる来訪者〜
「やっぱり、あのローラ。
そうか、あんたはあのあと、
この街に戻ったの…。」
かつて窮地を共にした顔なじみの
シスター見習いと、こんな形で
再会するとは夢にも思わなかった。
しかし、そんな感傷に浸っている状況ではない。
「…サーシャ。あなた、今まで…いいえ、
それより、メリッサを放してください。」
「だから駄目だって…。」
「メリッサは逃げませんし、話すと
いったことはちゃんと話します。
ですから、まず彼女を解放してください。」
「…。」
僅かに考える素ぶりを見せてから、
サーシャはようやくメリッサを放した。
メリッサに駆けよれば、怪我はないようで、
彼女は安堵のため息を吐いた。