モントリヒト城の吸血鬼② 〜望まれざる来訪者〜
「…。あぁ、その女は違う。ただの一時的な餌。
花嫁は吸血鬼と特殊な契約を交わして
不老長寿を得る代わりに
その吸血鬼以外とは交われない。
その女が吸血鬼の花嫁なら、
娼婦の仕事中にとっくに死んでる。」
「そう、なんですか…。」
「ところでローラ。姫乃はどこ行ったの。
あの子が住んでるって聞いてた村、
焼け跡と墓標しかない廃村になってるんだけど。」
「…あの村は二年前に原因不明の
火事で…村人全員が行方知れずになってるんです。
…大半はあの墓標の下で眠っていると思いますけど。」
「…姫乃も、行方知れずってこと?」
「はい。もうずっと、お会いしていません。」
「本当に?」
「はい。わたしはなにも知りません。」
鋭い眼光がローラの様子を探る。
たぶん、嘘をついていると
バレているだろうけれど、それでも
ローラはこの嘘をつき通さなければならない。