モントリヒト城の吸血鬼② 〜望まれざる来訪者〜
克服、とは言うものの、
凍夜の身体の為を思って
やっているのか、と
聞かれればそういう
わけではない。
何せ、凍夜は吸血鬼だ。
彼にとって必要なのは、
花嫁である姫乃の血であって、
彼女の血さえあれば、
他の栄養などとる必要は
ほとんどないのだ。
ようするに、これは
姫乃の暇つぶし…もとい、
趣味のようなものだった。
「奥様は、お料理の
才能がおありですよね。」
「というか、なんでも
そつがない以上に
こなされますけど、
苦手なことはあるのですか?」
クッキーを咀嚼した
天明と黎明にそう問われて、
姫乃は少し考え込む。