モントリヒト城の吸血鬼② 〜望まれざる来訪者〜


けろっとして
言わないでほしい。


3階建ての建物の
屋根の上なんて、
身体能力の異常に
高い凍夜ならともかく、
姫乃のような華奢な
女では落ちて無事で
済むわけがない。


「そんな怒らないで。
わたしだって、できるか
どうかちゃんと考えて
やってるんだから。」


残念ながら彼女の
判断では、3階の屋根に
登るのは自信をもって
できる項目に入って
しまったようだ。

その判断基準がすでに
おかしいことに、
文句の一つもつける
べきかと少し考えながら、
凍夜は起き上がって、
彼女が足を滑らせない
ようにと抱き寄せた。

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