モントリヒト城の吸血鬼② 〜望まれざる来訪者〜

「…それで?わざわざ
こんなところまで
追いかけてきて、
何の用?」

「あ、そう、あのね、
クッキーを焼いたの。
焼きたてだからとっても
おいしいのよ。
食べてみない?」

「…。…へぇ。
美味しそうだね。」

凍夜の五感はとても鋭い。
そのクッキーがただの
クッキーでないことなど、
すぐにわかる。

凍夜は姫乃の手のひらの
包みから、クッキーを
ひとつ、つまんだ。

凍夜がクッキーの材料に
何を使ったのか
気付いてないと
思っている姫乃は
目を輝かせて
その様子を見ている。

凍夜はつまんだ
クッキーを半分に割ると、
それをそのまま、
姫乃の口に放り込んだ。

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