モントリヒト城の吸血鬼② 〜望まれざる来訪者〜

「…美味しい?」

「おいひぃわ。」

「ふぅん。じゃあ…。」

飲み込んだ姫乃の口の中に、
もう半分のクッキーを
入れてから、耳元で囁く。

「じゃあ、口移しで
僕にくれたら、僕も
食べてあげるよ。」

「…。」

一瞬、嬉しそうに
驚いた姫乃の顔は、
しだいに言われた
ことを理解して
赤く染まっていく。

「ほら。のみこんだら、
僕が食べれない。
僕が食べないって
言ってるものを
食べさせたいなら、
そのくらいはして
もらわないと割に
あわないよ。」

「あ…や…そんな、
それは…。」

艶事に対して初心な
姫乃にそんな真似が
できないことなど
わかっている。

真っ赤になって
困惑する姫乃の耳元に、
口づける。

そのまま押し倒せば、
姫乃は完全にうろたえた。

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