モントリヒト城の吸血鬼② 〜望まれざる来訪者〜
女の肌を貪り始めた男の首に
そっと腕をまわして、
女は立ちあがった。
そのまま、開かれた窓辺に
男が腰かけるよう体重をかける。
捲りあげられた裾から見える
白い太ももを窓辺に座る
男の膝に乗せ、ほどかれた
リボンの下の柔らかなふくらみを
彼の胸に押し付ける。
「…。これが…最後よ。」
告げた言葉は男への餞別か、
自身への戒めか。
そのまま男の唇に
自身の唇を重ねる。
男は女の胸のふくらみと
白い足を愛撫しながら、
女からのキスを受けた。
たっぷりと時間をかけて、
かつて自分への愛の言葉を
紡いだ口を味わって。
そうして、女は隠し持っていた
銃の銃口を、男の胸に押し当てた。