モントリヒト城の吸血鬼② 〜望まれざる来訪者〜

耳元へのキスは、
凍夜が姫乃を
抱くときのくせだ。

夜の睦事を思い出した
姫乃は、もう、意地に
なっている場合では
なかった。

「と、凍夜、こんな
ところで、何する気?」

「何って、キミのつくった
クッキーを食べるんだよ。
口移しで。」

「…口移し…なんて…
できないわ…。」

「じゃあ、クッキーは
食べられないな。」

「ていうか…どうして
胸元のリボンをほどくの!」

「キミに口移しで
食べさせられてから、
もっと美味しいものを
食べる予定だったから。」

「血なら朝、飲んだ
じゃない!」

「血は飲んだけど、
こっちはまだ食べてない。」

そういって、ほどけた
リボンの下にある
ふくらみの先端を
甘く噛む。

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