モントリヒト城の吸血鬼② 〜望まれざる来訪者〜

誕生日―朔夜


「姫乃!どういうことです!?
沙羅の誕生日は明日だとか!」

「あら、おかえりなさい。
ええ、そうよ。
明日が誕生日よ。」

「ええ、そうよ、
じゃあないでしょう!
キミともあろう人が、
可愛い妹の誕生日の準備を
全くしないなんて、
いったいどういうことです!?」

帰ってすぐに姫乃の部屋に
飛び込んだ朔夜は、
部屋の主を見るなり
不満をまくしたてた。

突然の騒がしさに
眉をしかめて、
睨みつけてくる
凍夜の視線が少し痛いが、
現在の朔夜の天秤では
兄の機嫌より義妹の
記念日の方が重い。

凍夜の鋭い視線を
完全に無視して、
朔夜は姫乃に詰め寄った。

< 42 / 263 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop