モントリヒト城の吸血鬼② 〜望まれざる来訪者〜
「別に、僕たちの誕生日は
どうでもいいんですよ…。」
ため息交じりに、
朔夜が答えた。
姫乃は何も悪くないし、
せっかくの贈り物が
嬉しくないわけがない。
なのにここで、無駄に
へそを曲げて大切な義姉の
誕生日を台無しには
したくなかった。
「わかりました。
過ぎてしまったことを
とやかく言うのはやめます。
今年はスヴェートの
風習に則りましょう。
その代わり来年は、
かならず僕たちの風習で
祝わせてもらいます。」
気をとりなおした
朔夜の提案は、
姫乃と沙羅を少しばかり
戸惑わせたが、凍夜も
含めて全員を承知させた。