モントリヒト城の吸血鬼② 〜望まれざる来訪者〜

してほしいこと。


何があるかしら。


「…これからもそばに
いてくれれば、
嬉しいけど…。」

とりあえず、一番に
思ったことを告げたら、
不満げな顔をされた。

「当たり前すぎるね。
それだけ?」

そう聞かれて、姫乃は
また、考え込む。

たとえば、姫乃の母は、
父に一体どんなことを
ねだるだろうかと、
一番参考になりそうな
亡くなった両親のことを
思い出す。

中身までは覚えていないが、
記憶の中では確かに
チェーニ出身の母の為に、
彼女を溺愛していた父は
毎年贈り物を用意していた。



姫乃の、理想の、夫婦像。



柔らかく、飄々として
いながら、誰よりも
頼りになる父。

よく周りを困らせて
いたけれど、優しく、
おおらかな母。
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