モントリヒト城の吸血鬼② 〜望まれざる来訪者〜

「キミは、僕の花嫁になって
ずいぶん経つのに、
未だに恥じらうんだね。」


そんなこと言われたって。


恥ずかしいことは
恥ずかしいのよ!



そう叫びたいのに、
素早く唇を奪われて
しまったから、
姫乃は反論の機会を
失ってしまった。

いつの間にか、ベットに
組み敷かれ、夜着の上の
ふくらみを凍夜の指先が
なめらかに滑っていく。

「と、凍夜…っ…!」

もはや、されるがままの
姫乃の耳に、ノックの
音が届いた。

びくりと身を震わせ、
ドアの方を見る。

まさか、妹では
ないだろうかと凝視した
ドアから出てきたのは、
凍夜の身の周りの
世話をする従僕の
東雲だった。

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