モントリヒト城の吸血鬼② 〜望まれざる来訪者〜
ホッと胸を撫でおろす姫乃と、
その上の凍夜を見た東雲が、
少し申し訳なさそうに告げた。
「お邪魔でしたか、
マスター、奥様。」
「じゃ、邪魔じゃないっ、
ぜんぜん、そんなことない!」
「邪魔は邪魔だけど、
まぁ、いいよ。何の用?」
必死に否定する姫乃を
無視して、凍夜が尋ねると、
東雲は持っていた小瓶を
凍夜に差し出した。
「言いつけのモノが
できました、マスター。」
「…あぁ。そう…
ちょうどよかったね。」
「な、なに?何を
つくってきたの?東雲。」
凍夜の下から、
姫乃は東雲の持って
きたものを覗き込んだ。
「ソラマメの
クリームです、奥様。」
「ソラマメ…?って、
凍夜がつくらせたの?
これを?何のために?」
昼間は絶対に
食べないようなことを
言っていたのに。