モントリヒト城の吸血鬼② 〜望まれざる来訪者〜
「キミ、どうあっても、
ソラマメを食べさせ
たいんだろう。」
彼の、軽く上がった
口角に嫌な予感だけが
よぎる。
「…え…え…。」
「だから、食べて
あげるよ。」
そう言って、凍夜は
姫乃の胸のふくらみの
先と両ふとももの間を
指先でなぞった。
「ここと、ここを中心に、
身体にたっぷり
塗りたっくって、
キミごとならね。」
「!!」
冗談ではない。
普段でさえ、凍夜の唇が
敏感なところに
触れただけで恥ずかしくて
息が止まりそうなのに、
そんなことをされたら
姫乃はもう、
恥ずかしくて
恥ずかしくて、
死んでしまう。
「もう、二度と
食べなくていいから、
そんなの絶対イヤっ!!」
完全に羞恥の許容範囲が
限界を超えてしまった姫乃は、
そんな文法の滅茶苦茶な
絶叫を残すと、死に物狂いで
凍夜を押しのけて
彼の部屋から逃げ出した。