モントリヒト城の吸血鬼② 〜望まれざる来訪者〜

穏やかな日のティー・タイム―沙羅


「沙羅(サラ)、お茶の
お代わりいる?」

にっこりと笑いかける
友人に向かって、
沙羅は微笑んでうなずいた。


品のあるおしゃれな
テーブルクロスに、
可愛らしいティーセット。

そして、柔らかな笑みで
穏やかにもてなしてくれる
年若い店主。

店主が入れてくれる
おいしいお茶やお手製の
スイーツはもちろん絶品で。

小さいながらも人気の
この食堂は、夕方より
少し前に開店すると、
たちまち女性客で
満員になってしまう。

食堂としての本格的な営業は
夕方からなのだが、
その前の時間には
女性好みのスイーツを
出しているのがこのお店の
人気の秘密で。

そんなお店で、開店前に
新作のケーキを頬張りながら
食事に出ている義兄の
朔夜(サクヤ)を待つのが、
ここ最近の沙羅の日課だった。
< 6 / 263 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop