モントリヒト城の吸血鬼② 〜望まれざる来訪者〜
「これは、どうなさいますか?」
小瓶を受け取った東雲が、
黙々と何かを探し回る
凍夜を見ながら言う。
一瞬そちらに視線を
移した凍夜は、さして
興味がなさそうに
視線をそらした。
姫乃をからかい、
意地になっていることを
諦めさせるためだけに
作らせたのだ。
もう、用済みになった
エンドウ豆のクリームに
凍夜は微塵も興味がない。
「明日のティー・タイムに
でもだしたら。
朔や沙羅は気にしないで
たべるだろうから。」
「かしこまりました。」
一通り、引き出しを
捜し終えた凍夜は、
隣の戸棚に手をかけた。
「マスター…一体何を
お探しですか。」
「ブラシ。」
「いつもお使いの
ものではなくて?」
「姫乃の髪を梳かすから、
僕のじゃダメだ。」