モントリヒト城の吸血鬼② 〜望まれざる来訪者〜
友人からの手紙―沙羅
「本日のおやつは、
オレンジカスタードの
トライフル、
クリームチーズ・スフレ、
ストロベリー・プティングに
クルミクッキーと
ソラマメのクリーム添えです。」
天明と黎明がきれいに
盛り付けたおやつを見て、
沙羅は目を輝かせた。
姉の姫乃と、朔夜と沙羅の
三人でのティー・タイムは、
二人がそろって沙羅を
甘やかしたがるから、
おやつの種類が豊富になる。
どれから食べようかと
迷う沙羅の視界に、
何故か顔を赤らめて
黙りこむ姫乃が映った。
「…お姉さま、
お顔真っ赤。
どうかしたの?」
「なんでもない…。」
そうは言うものの、
顔を赤らめたまま、
姫乃はテーブルに
突っ伏した。
いつもは行儀のいい
姫乃のその態度に、
朔夜がすぐに感づく。