モントリヒト城の吸血鬼② 〜望まれざる来訪者〜
「また、凍夜に
からかられましたか。
あなたは相変わらず
艶事がからむと
初心ですねぇ。」
「…ほっといて…。」
「今度は何をされたのです?」
朔夜の質問に、姫乃は
ちらりとクリームを
添えたクッキーを見た。
「…わたし、凍夜に
ソラマメを食べさせるのは
諦めるわ。」
再び顔を伏せた姫乃に、
朔夜が気の毒そうな、
それでいておもしろがって
いるような口調でかえした。
「ああ…ソラマメの
クリームを食べさせるのに、
条件でもだされましたか。
どうせ体中を
デコレーションさせろとか、
そういう類いの条件でしょう。
そのくらいやって
しまったらどう…。」
「きゃあぁぁっ!?
ちょっと、沙羅の前で
何の話をはじめるのよ、
朔夜!」
「おっと…失言でしたね…。」