モントリヒト城の吸血鬼② 〜望まれざる来訪者〜

「沙羅、今の話は
忘れて!絶対に!」

「え…?…どうして?
お姉さま、ふわふわした
綿菓子みたいで
美味しそう…。」

「え。」

もしくは、もふもふ
もこもこした毛なみの
羊のぬいぐるみみたいで、
とっても可愛いと思う。

「…。…たぶん、
その想像だとクリームが
髪にもべたついて
後始末がたいへん
でしょうね。」

苦笑する朔夜の言葉に、
姫乃は盛大に安堵の
ため息をついた。

「…そういえば、
お姉さま。
リリからのお手紙を
読んだんだけど…。」

「リリ…?それは
いったいどなたです?」

リリ、というのは、
昨日届いた手紙を
くれた友人だ。

沙羅は顔以外をはっきりと
覚えていないのだが、
昔姉と共にお世話に
なった人の娘で、
その時以来、頻繁に
手紙のやり取りをしている。

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