モントリヒト城の吸血鬼② 〜望まれざる来訪者〜

…というのが、この町の
人たちをはじめとする
一般的なイメージらしいが、
正直、沙羅の知る
二人の吸血鬼は、
そのイメージから
大きく外れている。

朔夜も凍夜も、二人とも
夜には強いし昼間、
一時間の睡眠を
必要とするが、
日中も平然と外出しているし、
凍夜に至っては、
住処で一番日当たりの
いいところを陣取って
昼寝をする始末だ。

聖なるものにしても、
銀食器は普通に使っているし、
教会や聖書を拒む
こともまず、ない。

確かに、女の人の血を
吸わないと死んで
しまうらしいけど、
女の人を襲って無理やり
血を奪ったりはせず、
とても紳士的で。

現に、朔夜は、わざわざ
娼館という、女の人が
男の人を満足させるお店で、
ちゃんとお金を払って
必要な分の食事をとっている。

ちなみに、整った容貌を
最大限に生かして人当たり
良くふるまう朔夜はモテるから、
わざわざお金をだして
血を貰う必要はないらしいが、
凍夜曰く、他の女をかまうより
義妹の沙羅にかまいたいから、
あとくされの無い女を
選んでいるとか。
< 8 / 263 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop