モントリヒト城の吸血鬼② 〜望まれざる来訪者〜
「僕は、なにがあろうと
キミの味方です。」
「…。みか…た…?」
「ええ。僕は、何よりも
キミを優先すると
決めている。」
その言葉が、姉についての
話題で一瞬途切れた
先ほどまでの
落ち着かない空気を呼んで、
再び沙羅の身体の自由を奪う。
沙羅を可愛がってくれる
朔夜に抱っこされることは、
よくあることで。
朔夜が姉に気を使って
沙羅を甘やかす言葉を
くれるのも、
いつものことで。
なのに。
どうしてこんなにも
沙羅はいつもとちがうのか。
全身は熱くて
言うことを聞かなくて。
頭の中はぐるぐるとして
わけがわからなくて。
心臓は今にも飛び出して
いきそうなほど、暴れている。
「…っ…、っ…。」
なにか言おうと口を開いても、
なにひとつ、言葉が出てこない。