モントリヒト城の吸血鬼② 〜望まれざる来訪者〜

「マスター、
お持ちしました。」

「っっ!?」

突然、現れた
黎明の呼び声に、
沙羅の心臓はつい
今しがたまでとは
別な勢いで
とび跳ねた。

「…お嬢様が、
窒息しそうな顔を
しておいでです、
マスター。
強く抱きしめすぎでは
ないでしょうか。」

「そんなつもりは
ありませんでしたが…。
すこし、力が入り
すぎましたか。
沙羅、苦しければ、
言ってかまわないの
ですよ?」

「大丈夫…。」

沙羅を気づかう
朔夜と黎明に答えながら、
やっと身体の自由を
取り戻した沙羅は
気付かれないよう、
そそくさと朔夜の
腕から逃れる。

こっそり深呼吸して
動悸をおさめていると、
朔夜が小さな包みを
差し出した。

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