モントリヒト城の吸血鬼② 〜望まれざる来訪者〜
「…?」
「どうぞ。」
不思議に思って
みつめる沙羅の手に、
朔夜が包みを乗せる。
手のひらからすこし
はみ出すぐらいの
大きさの、箱。
可愛らしいピンクの
リボンで飾られたそれは、
誰かへの贈り物と思わせる。
「開けないのですか?」
「…開けてもいいの?」
長々と見つめ続ける
沙羅の様子にしびれを
切らした朔夜の
問いかけを、
問いかけで返す。
「当たり前です。
キミへの誕生日の
プレゼントですよ。
他に誰が開けると
いうのです。」
「…誕生日…。」
急かすような視線で
沙羅を見つめる
朔夜に気付いて、
沙羅は慌てて
包みを開けた。
「…きれい…。」
思わず、つぶやく。