モントリヒト城の吸血鬼② 〜望まれざる来訪者〜
「僕が持っていても
仕方がないものですよ。
ただ、しまって
おいても意味がない。
大事な物は大事な人に
使ってもらう
べきでしょう。」
「…でも…。」
「気に入りませんか…?」
「いいえっ…!」
困り顔で尋ねられれば、
沙羅は即座に否定する。
その言葉を待って
いたかのように、
朔夜はにっこりと
いつものように
ほほ笑んだ。
「では、受け取って
もらえますね。」
「あの…でも…。」
「気にいって
くれたのでしょう?
持ち主である僕は
キミに使って
ほしいのですから、
キミさえ気に入って
くれたなら、
何の問題も無い。
そうでしょう?」
「あの…。
…はい…。」