モントリヒト城の吸血鬼② 〜望まれざる来訪者〜
有無を言わさない
笑顔でまくしたて
られれば、沙羅は
うなずかざるを得ない。
そんな沙羅の様子に
満足して上機嫌の
朔夜の表情が、
突然緊張を孕んだ
モノに変わった。
「…?朔夜様?」
「…。」
そばで控えていた黎明も、
何らかの異変を
察して部屋に
飛び込んできた天明も、
探るような様子で黙りこむ。
「…結界が…消えた…?」
黙っていた朔夜が、
緊張を孕んだ顔のまま
そうつぶやく。
「…天明、黎明。
沙羅から離れないように。
沙羅、ここにいなさい。
少し、外の様子を見てきます。」