【完】泣き顔スマイル
少し伸びた艶のある黒髪。
昔は何とも思わなかった首元のホクロが何故か今は妙に色っぽく見えて。
閉じた目から伸びる睫毛に、窓から差し込む光が、影となって落ちる。
この綺麗な黒髪に、その白い頬に触れたらマルはどんな反応をするだろうか。
顎に手を当てながら、まじまじとマルの寝顔を見つめた。
………触れたい。
俺だって幼馴染である前に、男だ。
「…いい加減起きな」
声を掛けても応答無し。
仰向けに寝ていた体をゴロンとこっちに向け直して、むにゃむにゃと口を動かす。
本気でイラッとして
「…あのさあ
そんな格好で寝てると襲うよホント」
思わず出た挑発の言葉は、ある意味俺の願望のようなものだった。