【完】泣き顔スマイル





別の意味で顔が熱くなる。

涙なんて都合がいいほどに引っ込んでしまった。



「で、でも…そ、それはちょっと…ねえ」


「はい面倒くさいから早く乗って」



そんなこと言われたって!


一応恋する乙女たるもの

中々素直に動けない。



躊躇っているとイラついたように修ちゃんが目線だけ振り向く。



「なにお姫様だっこのほうが良かった?」



怪我人とは思えない
速さで背中に飛び乗った。




ふわ、っと上がるカラダ。

ギュ、と首に手を回す。



「ほんと、そそっかしいから気をつけて」


「うん」


「言ってくれれば止まるから」


「うん」


背中が温かくて心音が心地よい。




< 39 / 143 >

この作品をシェア

pagetop