【完】泣き顔スマイル
別の意味で顔が熱くなる。
涙なんて都合がいいほどに引っ込んでしまった。
「で、でも…そ、それはちょっと…ねえ」
「はい面倒くさいから早く乗って」
そんなこと言われたって!
一応恋する乙女たるもの
中々素直に動けない。
躊躇っているとイラついたように修ちゃんが目線だけ振り向く。
「なにお姫様だっこのほうが良かった?」
怪我人とは思えない
速さで背中に飛び乗った。
ふわ、っと上がるカラダ。
ギュ、と首に手を回す。
「ほんと、そそっかしいから気をつけて」
「うん」
「言ってくれれば止まるから」
「うん」
背中が温かくて心音が心地よい。