【完】泣き顔スマイル
第六章* 失う勇気を下さい
気がつけば、この17年間
ほとんどの時間を
修ちゃんに費やしてきた。
小学校も中学校も高校だって。
ずっと隣で修ちゃんと
一緒に成長してきた。
相変わらず泣くと涙を拭ってくれたね。
たまに喧嘩もしたね。
しょっちゅうおやつを半分個したね。
おんぶも
たくさんしてくれたね。
思い出の中には
いつだって修ちゃんがいた。
だから好きでいることが
当たり前だったんだ。
いつか修ちゃんのお嫁さんになれる、と本気で信じていた。
でもそんなことをすっかり忘れていた修ちゃんは中学生の頃、家庭教師の美香さんに恋に落ちました。
これがまた綺麗な人で、性格も良くって私なんかじゃ太刀打ち出来なくて。
すごく泣きました。
ボロボロ、ボロボロ
子供のような涙を何回も流しました。
でも修ちゃんは涙を
拭ってはくれなかった。
隣にさえ、いなかった。