【完】泣き顔スマイル
思い出すのさえ躊躇いを生じるけれど乃愛ちゃんに全てを話したい。
だから、またちょっとだけ昔話に付き合ってもらってもいいかな。
記憶は、美香さんがいるときは部屋に来てはいけない、と言われてから二週間が経ったときまで遡る。
『モモー。悪いけれど、コレ修ちゃん家に届けてきてもらえないかしら』
「え」
『お母さんすぐに出掛けなきゃいけなくなっちゃって。でもなるだけ焼きたてを届けたいの。ね?』
お母さんお手製のアップルパイ。
…修ちゃんの好きなやつだ。
もちろん直ぐに届けにいきたいけれど
でも今はちょうど美香さんが…。
躊躇う私にお母さんは念をおすと、それを私に渡した。