【完】泣き顔スマイル





『修凄いじゃん。この応用かなり難しいのによく分かったね』


扉一枚挟んだ向こう側から

美香さんの声が聞こえてくる。


「それに類似した問題昨日解いたから」

『なあーんだ、私の教えが分かり易かったからじゃないんだー』


美香さんの言葉遣いは私といるときとはまたちょっと違う気がして。

修ちゃんに心を開いているのが、よく分かる。


ーズキッー

慣れてるはずの痛みが

思いの外胸を締め付ける。



階段はとっくに上り切っている。

早くノックを。

でも手が上がらない。


二人の間に入っていくのが、怖い。



『……ねえ、修。
今度一緒にどっか出かけよっか』


そうやってモタモタしていたら
なんだか意味深な流れになってきていた。




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